「撥水スプレー」で滲みを抑えた痛絵馬を描こう!
ちょっと長いです。
とりあえず、御託は良いから描き方だけ知りたいんですけど…という人への要約版はこちら。
痛絵馬ノススメ
アニメの聖地巡礼が盛んな昨今ですが、各地の神社仏閣にキャラクターの絵馬を描いて奉納する「痛絵馬」も珍しい物ではなくなりました。
takhinoも絵描きの端くれ、やっぱり好きなアニメの舞台に行ったからには、痛絵馬の一つや二つ残し手みたいなあ…と思い、ちょくちょく描くようになりました。ところが、これが思ったより難しい。
[かみちゅ! | さくらマイネーム | 御袖天満宮 2013.5.5 奉納]
その主な原因は、キャンバスが紙ではなく木であること。
木目に鉛筆が引っかかるし、筆圧で木が彫れてしまうし、そのうえ油性ペンでなぞると物凄く滲む!
この滲みが本当にやっかいで、おかげで油性ペンの極細はほとんど使い物になりません。もちろん線が滲んでいるからといって作品への愛が変わるわけではないのですが、どうせ描くなら好きなキャラクターは綺麗に描いてあげたいのが絵師心というもの。
何とか方法はないのでしょうか…いや、必ずあるはず!
各地で見た痛絵馬の中には、線が全く滲んでいない絵馬がいくつもあったのです。調べていくうちに分かったのが「撥水スプレー(防水スプレー)を使う」という方法でした。
先人の知恵「撥水スプレー」
絵馬って、マジックで書くと木目で滲むんですよ…。だけど、まさか「撥水スプレー」で痛絵馬を描くときの滲みをここまで抑制できるとは…!先人の知恵すげえ…! pic.twitter.com/d4jPFnmxRe
— takhino@雀 (@takhino) 2014, 10月 5
こんなツイートをしたところ、やたらと人気になり、あちこちのサイトで取り上げられました。でもこのツイートでも書かれているとおり、これはtakhinoが考えたわけではなく、先人の知恵なのです。
絵馬に撥水スプレーという一見すると全く接点の無いこの組み合わせ。どうやら最初に編み出したのは、聖地巡礼という文化を広く世に知らしめ、後発のモデルケースとなった『らき☆すた』の聖地、鷲宮神社で絵馬を描いていた絵師たちだったようです。
絵馬の木材表面に空いた無数の微細な穴にインクが染みこむことで線が滲むのを防ぐため、あらかじめ撥水加工を施す、という手法を現在の聖地巡礼の基礎を創った鷲宮神社の絵師が開発していたのですから、驚くほかありません。どんだけ最先端だったんだ鷲宮…。*1*2
彼らの絵馬制作の手法は、かつては鷲宮SNSと呼ばれるサイト等で紹介されていたようなのですが、残念ながら現在それらのWebサイトや記録はデータが欠損するなどして失われており*3、情報は断片的にしか残っていません。
この記事は、サルベージした情報を統合し、実際に痛絵馬を制作しつつ、内容をもう少し掘り下げるのが目的です。
防水(撥水)スプレーには2種類ある
スプレーで加工をするにも種類を間違えると上手く行きません。
シリコン系
表面にシリコンによる膜を作って、水が通り抜けることができないようにするタイプ。薄いビニールで覆うイメージ。
強靱な防水効果が得られるものの、服等に使用すると、空気や水蒸気も通さないため通気性は無くなり、蒸れるという欠点がある。傘など、通気性が必要ない物に使われている。
「水をはじくが、油ははじかない」性質のため、絵馬の制作には適さない。
フッ素系
表面を水をはじく粒子で覆う。つまり正確には防水ではなく撥水なのだが、用途が同じなので防水スプレーという商品名のことが多い。細かな毛が生えたハスの葉が水をはじくイメージ。
隙間があるので通気性があり、水ははじくが空気や水蒸気は通すため、蒸れない。現在、靴屋さん等で取り扱われているのは、主にこちらのタイプ。
ただし、強く擦るとすぐに剥げ落ちてしまうのが欠点。
「水も油もはじく」性質のため、絵馬の制作にはこちらが適している。
痛絵馬メイキング
ヤマノススメの絵馬を描いてみました。今回はモノクロで描きます。
使用画材
絵馬
ヤマノススメに登場する観音寺の絵馬。素材としては一般的なものと特に変わりありません。
他の聖地と違って、ひだまり山荘等の近隣の一般店舗でも購入可能なため、入手性が高いのがありがたい。
鉛筆
下書き用途に使用する鉛筆。今回は三菱ハイユニ(4B)。
絵馬に使用する場合、芯が硬いと木を彫って溝を作ってしまうため、柔らかい芯の方が良い。
自分は2Bと4Bを使い比べて、4Bの方が書きやすかった。
練り消し
鉛筆の粉が木目に入り込んでしまうので、普通の消しゴムより綺麗に消しやすい。今回使用するのはサクラクレパスのデッサン用ねり消しゴム。
普通の消しゴムの方が消しやすい場面もあるため、使い分けするとよい。
油性ペン
絵馬や撥水スプレーとの相性もあるだろうが、今回はPILOTのTwin Marker。
何度も塗り重ねたときにZEBRAのマッキーより綺麗に発色したので、こちらを採用。ただしマッキーの方が定着力が高いので、普段は並行してマッキーも良く使っています。種類を探究しがいがありそうなポイントです。
(2)撥水加工をして滲みを防止する
撥水スプレーを吹きかけます。この手のスプレーは「びしょびしょになる程度まで吹き付ける」のが基本。布と違ってスプレー液が流れ落ちてしまうので、立てかけるより平置きで作業した方が効果的です。火気厳禁、屋外で行いましょう。
紐は一端取ってしまいました。側面もスプレーしておくと、キワで滲みにくいです。
(3)ペン入れ
今回はモノクロ1色なので、切り絵調にしてみました。下手にグラデーション付けるよりも、切り絵や版画、焼き印のように黒が映える絵にした方が締まって見えるかな、という意図です。とは言えこの辺りは画風なので人次第、気分次第。
もし線を消したいときは、一応、カッターや紙やすりで削れます。
(4)消しゴムをかける
消しゴムをかけて、できあがり。
注意しなくてはいけないのは、消しゴムで擦ると表面の撥水コーティングが剥がれ落ちてしまうという点。消しゴムをかけたあとで再度油性ペンで描く場合は、先に撥水スプレーを吹き直さないと滲みます。
[ヤマノススメ | TwinMarker | 観音寺 2014.10.5 奉納]滲んだ例。文字の「谷川岳」の部分はコーティングがあるのですが…
その下の「登れますように」「富士山にも」の部分はコーティングが剥がれたまま書いたので、文字が滲んでいます。
これは逆手にとると、一度スプレーで撥水加工を行ったあとでも、消しゴムで擦ってコーティングを剥がしてしまえば、水性の画材で着色することができるということでもあります。コーティングを剥がすことが目的の場合は、練り消しより普通の消しゴムの方が楽です。
薄いかなと思って二度塗りしてみたのですが、ちょっと塗りむらが出てしまいました。
周りを黒枠にしたのはフレーム効果ねらい。ぱっと見のインパクトに欠けるモノクロの絵馬では、なかなか有効な構図のように思います。
(5)仕上げに撥水加工をし直す
絵馬は基本屋外で風雨にさらされるもの。
完成したら、奉納する前にもう一度スプレーをかけて撥水加工を行うと、絵馬が長持ちします。
[ヤマノススメ | TwinMarker | 観音寺 2014.11.12 奉納]
あとがき
こんな感じで、絵馬を描いています。スプレーだけで滲みがなくなって、シャープに書くことができるようになります。
細い線が引けるとイラスト描写の選択肢が増えますし、線に滲みがないだけで見た目もぐっと良くなります。小さな文字が書きやすくなるのもメリットです。
絵馬を書かない人も、布に油性ペンで文字を書くときの撥水スプレーによる滲み防止術は普段の生活で使える技です。ぜひ使ってみてください。
なお、今回はモノクロ絵馬でしたが、
彩色する場合どんな画材が向いているかはh071019さんの下の記事が詳しいです。
彩色したカラー絵馬はとても映えるのですが、画材の選択が難しそう…いつか手を出してみたいです。
*1:ちなみに撥水スプレーで油性ペンの滲みを防ぐというアイデア、もっと以前に無かったのか調べたところ、「体操服やゼッケンなどに名前を書くとき滲みを防ぐ方法」として存在していたようです。主婦の知恵ですね。ここから着想を得たのかなと推測。
*2:現代の痛絵馬に限らず、古来から絵馬の滲みについては人々の悩みの種だったようで、「墨にわずかに糊を溶くと滲まない」なんて方法もあったようです。
*3:「かつて栄華を誇った超古代文明『ワシノミヤ』が残した謎の超技術」、痛絵馬界のロストテクノロジー!………すみません言いたかっただけです。
*4:下絵の工程で絵馬が汚れるのを防ぐため、トレーシングペーパーに下絵を描いて転写している人もいるようです。他にも、木目による凹凸を無くすため1000番台のやすりがけを行う人もいるとか…。痛絵馬の世界、奥が深すぎる…。
ちょっと日光、行ってくる!
フォトポタだから~。と言うことでfeijaoに誘われて、紅葉の日光へ。
上の方は紅葉にはちょっと遅いかもしれないけど、下ならきっといけるはず!
最近、適当な写真しか撮ってないなあ…と思うので、今回は「真面目に撮る」のが目標です。Nikon V2に限界を感じるこの頃なのですが、レンズがいっぱいあるので、それを使いこなして、もうちょっと最後の一絞りまで実力を引き出してあげたいのです。
今回はJPEG撮って出しで行くのだ!
▲ということで輪行で行ってきました。東武日光。
feijao企画なので、てっきり自走だと思ったよ…直前まで素で思ってたよ…。
実はtakhino、初めての日光です。関西人なので、今の今まで全く縁がなかったのです。おかげで土地勘が全くない…。
▲神橋(しんきょう)。日光エリアの玄関口。
日本三大奇橋に挙げられることもあるらしいけど、橋脚が石造りの鳥居なぐらいで、何が珍しいのかなあ…。と思って調べてみたところ、どうやらこんなに深い峡谷に架かっているくせに「跳ね橋」らしい。…なるほど!
▲で、出たー!「馬返」ー!三ツ峠にもありましたね!馬も返る馬返し!
▲たぶん今回のベストショット。
写真的にも、紅葉の加減的にも…。
▲渋峠以来まともに乗っていなかったせいもあって、早くもバテ気味。レイヤリングが暑すぎたせいもあったのですが…。
▲明智平。こうして見ると整然と撮っているように見えるのですが、実は盛大に自転車ひっくり返してしまって焦りまくり。
このカメラも、晴天下ならかなり頑張れる。
▲帰りに通るのはこちらの第一いろは坂。いかにも急そうなのですが…。
▲中善寺金谷ホテルの館外レストラン「コーヒーハウス ユーコン」。
▲「百年カレー」いたきます!甘みと後味のスパイシーさが絶妙。
▲中禅寺湖畔は深秋の装い。
いや、ほら、日光って谷川岳の隣ですし。標高も似たり寄ったりなので、紅葉の時期は…まあ、そうなりますよね。
っていうか、今年一年で渋峠に谷川岳に日光と、北関東のこの近辺に、ずいぶん足繁く通ったものです…。気がついたらこの3ヶ所、全部隣同士の山域だよ…。
▲龍頭の滝。ああ、確かにこれは周りが真っ赤に染まってる頃に来たら綺麗だったろうなあ…。
▲ここだけ切り取れば多少は…。ええ、まあ…。
「紅葉は1週間が勝負」。谷川岳と日光で思い知りました。
▲これが世に名高き、戦場ヶ原!
実は荒野ではなく、湿原なんだそうです。それで木道があるのか~。
▲で、さらに上を目指します。金精峠(こんせいとうげ)へ。
あー、もうそろそろ脚が売り切れです。やっぱり3ヶ月乗ってないとこうなるよね。そもそも渋峠でもへたってたし、ある意味予定通りかもです。なのですがこの金精峠、つづら折りの出来が実に丁寧で、カーブの内側でもほとんど斜度が急にならないので、とても登りやすい坂でした。
ただしfeijaoはアウターのまま登ってしまってるのですが、それはちょっと意味が分からない…。
▲頂上~。あー!つかれたー!
ろんぐらいだぁす!ツーリングガイドでは「いろは坂に比べれば斜度はそれほどきつくなく…」とか書いてありますけど、嘘だー!こっちの方が斜度微妙に急ですよ!?長いし。
▲金精峠トンネル入り口、標高1843m。実はここが国道標高第3位。トンネルの向こう側の方がちょっぴり標高が高くて1860m台。
第1位はこの夏に行った渋峠(2172m)、第2位はまだ見ぬ麦草峠(2127m)。2位と3位にずいぶんと開きがあるみたいです。
▲とは言え、やっぱり1800m。気圧はそれなりに低いらしく、お菓子の袋はこの通り。
帰りのダウンヒルは寒いので、ウィンドブレーカーを…と言いたいところですが、今回は試験的に雨具を持ってきました。登山用に買ったモンベルのストームクルーザーです。
思ったよりばたつかず、汗抜けもそれなり。さすがゴアテックス。
▲華厳の滝。おお~…。さすが名瀑…迫力あります。
で、ISO1000…カメラの方もそろそろ限界の時間帯じゃ…。
帰りは第一いろは坂。こっちの方が登りの第二いろは坂より古いだけあって、斜度が急です。最初の数回は渋峠の気分で下っていたのですが、それだとカーブがきつすぎて曲がりきれない。ちょっと気を抜くと速度オーバーで崖下へ…。特に今回はクリンチャーなのできついカーブだとグリップしきれない…。安全運転で下りました。
一通り、日光を満喫して返ってきました。
しばらくお休みしていたけど、また、ぼちぼち自転車乗っていこう。ずいぶん弱ってるので、ゆるゆるとやっていこうと思います。
あと、日光、これは別の機会に時間を掛けてあちこちをゆっくりと回ってみたいです。見るべき所がたくさんありすぎです。東照宮や戦場ヶ原目的で、歩きでも来てみたいな…それから、日光白根山にも。
ちょっと谷川岳、行ってくる!(後編)
頂上へ
周りは一面、金色の草原。
谷川岳は森林限界を超えると、クマザサの藪と、草原が広がっているようです。
残念ながらここまで高い場所だと、紅葉は終わってしまっているみたい。
肩の小屋、ついた!
谷川岳の頂上にほど近い稜線にある山小屋。今回は寄っている時間は無いかな…。
谷川の鐘。その向こうに見えるのは、俎嵒(マナイタグラ)と谷川連峰主脈の美しく切り立った山稜。
もうすぐ14時。トイレが満員だったので、先に山頂を目指します。最初の山頂「トマの耳」はもう目と鼻の先。
稜線上はさすがに風が冷たいのでレインジャケットを着込んで移動。さすがゴアテックス、蒸れない。
ものの10分ほど歩くと…着いた!ここが手前の山頂「トマの耳」。実は今年の夏に落ちた雷で標柱が破損してしまったらしく、真新しい物になっています。
飯能でヤマノススメのミニパネルを買い込んできたので、写してみようとしたのですが、いかんせん風が強すぎて吹き飛ばされそう。ザックと岩の影に設置するのが限界でした。次々と登山客が途切れないので、邪魔になってもいけないですし。
そして、もう一踏ん張りして隣の頂上「オキの耳」へ。
14時30分と、時間が時間ということもあってか、こちらにはあまり人がいません。
ちょっと崖の方によってみます。
うわ…
噂に高い「一ノ倉沢」方向。
なるほど、この正真正銘の断崖絶壁を登ろうとするんだから、そりゃ人がわんさと死ぬわけだ…。
おお、トマの耳が見える…。
さて、おにぎりを一つほおばって、ここから帰ります。
片側だけが切り立っているトマの耳。谷川連峰は他もだいたいこんな感じみたいです。
蛇紋岩で滑らないように慎重に…。
トマの耳から、さっきまでいたオキの耳を。いつかさらに向こうまで行ってみたいな…。
肩の小屋が見えてきました。それにしてもこの絶景…!この優美な稜線…!このまま稜線を、向こうの山まで歩いて行きたいけれど、まだその実力は無い…。肩の小屋にも泊まってみたい…。
下山
15時…さあ、稜線に別れを告げ、下山です。あれだけ大勢いた人が、もうほとんど残っていません。少し急がないと…ただし慎重に。
たぶんあそこが天神平。
16時。熊穴沢避難小屋の辺りまで帰ってきました。
さっきまでいた山頂が雲の中。やはり午後は崩れやすいようです。
ここまでかなり急ぎ足で下ってきたのですが、ここで渋滞発生。
まあ、あんまり急いでも仕方がないですし、ここまで来れば時間的には問題ないので、写真を撮りつつゆっくり行くことにしました。
夕日に輝いて色づいた木々が綺麗。
天神平のロープウェー乗り場が見えてきました…ってなんだあの行列…。
ロープウェー待ちの人達が大渋滞。とはいえ、逆に言うと自分の後ろはもうこれだけしか人がいなかったのか…。まあ、ロープウェーは17時でおしまいですし…。と言いつつ17時を過ぎてもまだ列は屋内に届かず。正直寒くなってきました。これ、万が一のために持ってきたダウンがまさかの登場…はさすがにないよね…
17時20分、ようやくリフトに乗ることができました。リフトの人も大変だなあ…。
土合駅に行こうとするとちょっと間に合わないので、バスで上毛高原駅まで行って、そこから帰ることにしました。
比較的楽に登れる(とは言え三ツ峠より大変)わりに、この絶景。やっぱり人気の山だけはあると思いました。反面、人の多さで思ったように進めないことが多々あるのが残念。
でも、また行ってみたいと思いました。やっぱりあの稜線は惹かれます。人が少ない時を見計らって山小屋泊とか、してみたいな…。そんな山でした。
ちょっと谷川岳、行ってくる!(前編)
再び山へ
前回の三ツ峠山行で気をよくしたtakhino。しかし登山熱は冷めやらず…。
なにしろ、この機会にと揃えた登山装備。このままシーズンオフで眠らせるのはもったいない。山が冬になる前に、もう一カ所ぐらい登っておきたい所です。
三ツ峠の時から比べると、だんだん気温も下がってきて、秋めいてきました。というか、今年は寒くなるのが例年より早め。…これは、紅葉のチャンスでは…?
よし、ちょっと高い山に行こう!行き先は…谷川岳!
谷川岳へ!
それではいざ、谷川岳へ!と決めていた10月4日(土)。ちょうど紅葉も良い感じ…だったのですが、なんと台風が接近。一応直撃するのは月曜日になりそうだったのですが、念のために予定を延期しました。
ところが1週間後、再び台風が迫っている…!またしても延期かと思ったのですが、台風の足が予想より遅いので10月11日(土)に決行することにしました。これ以上先延ばしにすると紅葉終わってしまいそうですし…。
ところが前日までが慌ただしく、ろくな準備ができない状態。当日朝に最終確認がずれ込んでしまい、始発電車を逃してしまいました。この時は、始発を逃しても多少の遅れですむだろうと思っていたのですが…これが大きな誤算の始まりでした。
今回は新しいザックを投入。karrimorのリッジ40、カリマーブルーに一目惚れ。とは言え、見た目だけじゃなく、きちんと担いでフィーリングはチェックした上での選択です。
谷川岳のある土合駅は人呼んで「日本一のモグラ駅」。駅のホームが地下にあり、そこから改札までがすでに軽く登山状態、ということで期待が高鳴ります…が。
あれ…?普通に地上のホームに着いてしまった…。臨時列車だったから地下には止まらない…のかなあ…。
しかし、三つ峠駅の時の寂しさと比べて、この降車人数…さすが日本百名山は違います。
2本目の電車なのですが、すでにこの時点で始発から1時間半の遅れ。まさかここまで電車の本数が少ないとは…。
まあ、今回は簡単な天神尾根コースなので、そこまでの難易度では…と油断していると足元をすくわれます。コース自体は簡単でも、谷川岳は中央分水嶺。渋峠のある草津白根山と同じく、天候の変化が激しい場所なのです。というか、そもそも渋峠とは直線距離で25kmしか離れていなかったりします。
登山ポストは土合駅と、この先のロープウェー乗り場にもありました。今回はここで書きます。
さて、土合駅を出発。登山口までは歩きです。
谷川岳慰霊碑。実は死者数世界ワースト記録を持つ山だったりします。それもエベレストの死者200人程度に対し、谷川岳の死者は800人超とぶっちぎり。
もっとも、そのほとんどが一ノ倉沢という大岩壁でのクライミングに挑んだ人々によるもの。ただ、天候変化の激しさからの気象遭難もそれなりの数あるらしいので気は抜けません。今年もすでに3人も亡くなられているようで、まさに「魔の山」。
それにしても、谷川岳に向かう車のこの大渋滞…。ちょっと先が不安です。
谷川岳ベースプラザ。ロープウェー乗り場はここにあります。何だかすっかりお腹が空いてしまったので、ここで一度補給することにしました。
まずはロープウェーで天神平へ。
ここは冬場はゲレンデになってる場所っぽい。
向こうに見えている猫の耳みたいな山が谷川岳。こんな風に猫耳みたく2つの山頂がある山を双耳峰と言います。
山はすっかり秋の色。
さらにリフトで天神平からもう一段上にある天神峠へ!
あ、確かにこのリフトは低いしゆっくりなので、あんまり怖くない。
すっかりお昼になってしまいましたが、なぁに、こうしてロープウェーとリフトで登ってしまえば、あとは天神山から谷川岳に向けて尾根筋を移動するだけだから、楽勝楽勝。いくらでもリカバリーできるはず!
原作でリフトに乗って天神峠まで来ているので、これが一番楽なコースなのだと思いきや!ていうか、ガイドマップには散策路って書いてあるけど、散策って道じゃないよ!これ完全にゆるふわ詐欺だよ!!!
笹の中を歩きます。道は赤土で、溝になっていて所々ぬかるんでる…。
ようやく、歩きやすい木道のトラバース道に出ました。天神平のロープウェー駅から直接登ってくる道です。こっちの方が絶対楽だった…。
前をゆく年季の入った登山家さん。
「若いから速いでしょう?先にどうぞ。」などとおっしゃいますが、そんな滅相もない。この方、歩幅は小さいのだけれど、段差の少ないルートを見つけるのがとても上手で、休みなく登り続けるため、結果的にかなり速い。しばらく後ろを付いていくことにしました。ルート取りの勉強させてもらおう。
「ここまでどれぐらいかかって登ってきたんだい?」
「1時間位ですー。来るのが遅くなっちゃって。」
「逆に良かったかもしれないよ。朝は渋滞で身動き取れなかったからね。」
…そういうものですか。
子連れも多く、子供たちが元気に駆け上って行きます。
そこに唐突に出現する鎖場!子供たちを容赦なく恐怖に陥れる!!!
難易度が高いわけでも特別危険なわけでもないのですが、切れ落ちて崖になってるので、確かに怖い。三ツ峠山の崩壊地とは違う、正真正銘の崖。
さっきまではしゃいでいた子が「こわくて進めないよぉ~…!」と泣きついています。頑張れ少年。
それにしても、アニメであおい、これ渡れるんですかね…。
まずは最初のチェックポイント「熊穴沢避難小屋に」到着。
休憩はそこそこに、先を急ぎます。
距離的には半分なんですが、本番はこれから…ですよね、きっと。
ここから、ロープと鎖が連続で出てきます。
いや、登りの難易度自体は高くはないんですが…
すれ違い難易度が…人多すぎて列が全く途切れる気配がありません…。
基本登りが優先のはずなんですが、登りやすい位置は下りの人で完全に埋まっています。待っていても埒があかないので、誰も来ない急峻な場所を選んで登ります。体力がどんどん削られてゆく~…。
天狗だ!天狗がいるぞ!とか言いたくなるこの岩が「天狗の留まり場」。
一気に視界が開けます。森林限界超えたんだ…!
ちょっと三ツ峠山、行ってくる!(後編)
「ヤマノススメ聖地巡礼」名目で三ツ峠山登山。
なかなか本格的な山道に、ヒャッハー!してるtakhino。
見事な富士山を堪能しながら順調に登り続け、もうすぐ頂上です。
四季楽園
屏風岩を回ると、最後の急峻な登りが待っています。
▲看板が完全に壊れて、もはや何が何だか分からない分岐点。
左側が三ツ峠山荘、右側が四季楽園への道。山頂に近いのは右側、四季楽園方面です。
とてつもなく急な階段を登ると…
▲到着!三ツ峠山に2つある山小屋の一つ「四季楽園」です。
▲「ヤマノススメ」ポスターが。
▲気温は13℃。でも日差しがあるので暖かい。
テラスの机はこのボックスに100円払えば使えるようです。
▲この四季楽園、本編には登場しないのですが、実はテラスがEDに出てきます。
さて…ちょっとトイレに行きたくなってきました。張り紙では四季楽園では有料でトイレを借りられるようなのですが…。すみませ~ん…。
「トイレ?使ってもいいけど、そこを下りたところに無料の公衆トイレがあるよ。」
え?本当ですかご主人?
「そうだ、ちょうど良い!悪いけどトイレットペーパー持っててくれるかな?」
いえいえ、トイレが借りられるのならお安いご用です!
▲え~と、四季楽園を下って、四差路を振り向くと…。あった。
山の上に公衆トイレ。おまけに、なんと水洗!
ということは、いつもは定期的に四季楽園のご主人がトイレの管理をしていらっしゃるんですね…。ありがたい…。
頂上へ!
さあ、いよいよ頂上です!
▲四季楽園を下りた四差路。右側が頂上。放送用のアンテナ塔と反射板が目印です。
▲NHKのアンテナ塔。頂上はもうすぐそこ…!
…というここが実は一番危険です。
ザレた上に斜度がきつく、階段が壊れているため、下りの人がよく滑り落ちていました。プチ滑落です。
滑ったところで転落するような崖などはないのですが、周りが巻き込まれると危ない。
▲着いた!三ツ峠山、山頂!
思ってたよりもずっと小さい石碑でした。というか、山頂自体がかなり狭い。8畳あるかないか。
▲少し雲が出てきましたが、見え隠れする富士山をバックに。
このためにヤマノススメ2巻を持ってきてみました。
▲遙か地平の彼方に霞む、あの山々は北アルプスでしょうか…。いつか行ってみたいな…。
降りた後のお楽しみ!
さて、名残は惜しいのですが、そろそろ下山することにします。
山は早出・早着き・早帰り!
▲下山の方が大変。やっぱり膝にきます。花を撮りつつ、ゆっくり下ります。
これはフジアザミ。でっかい。巨大です。
▲ウメバチソウ。山のあちこちに咲いているかわいい花です。
下山していると、後ろから同じく下りてくる3人組みが。このうちの1人、リーダーの下山速度が特に速い。ダブルストックでスルスル下りてきます。ライン取りも上手で無駄かなく、いかにも山慣れした雰囲気。
こちらもそれなりの速度で下りているのですが、それとほぼ同じか少し速いぐらいの速度で下りています。後の2人を待ちながらなので時々止まるのですが、こっちも同じく写真を撮るために止まりながらなので、追いつ追われつといった感じ。
帰りはこの人たちと一緒かな…?
リーダーとチラリと目が合います。
うん、こちらは1人の単独行、向こうは3人パーティー。こちらがパーティー間に入りこんでしまうとお互い面倒…。
takhino(先、行きますね?)
リーダー(ちょっと間あけますね?)
阿吽の呼吸!
▲行きに大曲りで見つけたヤマボウシの実。
だれかがベンチに置いていったようです。乙なことを…。
この時、木々の間にリスを見つけたのですが、カメラを出す前にどこかに消えてしまいました。
▲下りは早い…あっという間に登山口です。これはイグチの仲間かな…?
登山口に止まっていた車、どうやら近くに寄ったのでとりあえず登山口までは来てみたヤマノススメ聖地巡礼者のようです。やっぱり、それなりに人気なんですねえ…。ただ、計画と装備だけはしっかりと…!
股のぞきの辺りに、これから登ろうという登山者が何人かいましたが、この時間からだと頂上まで行くと恐らく日没に間に合いません。途中で時間を考えて引き返していれば良いのですが、ちょっと心配です…。
▲そして、やっぱり最後まで一緒になった3人組パーティー。
どうやら裏登山道の三つ峠登山口バス停から登って、Aコースを下りてきたみたいです。
リーダー「あ、そういえば、達磨石ってどこだったんですか?」
え!?あんな目立つ物、見逃したの!?…いやでも、確かに裏側からだと、ただの岩にしか見えないかも…。
▲三つ峠グリーンセンター。
今回は三つ峠グリーンセンターによって、温泉に入ることにしました。ちょうど駅まで1km程度なので、本数の少ない富士急行の時間調整としても、ここの立ち寄りは便利です。
▲とりあえず、ココアが飲みたい…。下山中に補給をしなかったせいで、軽くハンガーノック気味。
時間を見計らって、駅に向かいます。
▲行きに富士山がよく見えたあの広場。富士山はすっかり雲の中です。
「ここはよく富士山が見えるんだけどねえ…今日はダメだねえ~…。」
と農作業中のおじさん。
いや、いいんです。今日は山で綺麗な富士山をたくさん見られたから。それに、「いつでも見られたらつまらない。」…ってね。
▲帰りの電車は偶然にも、ヤマノススメ号!
聖地巡礼としては、ちょっとできすぎたシナリオです…。
▲車内はヤマノススメ一色…
三つ峠駅を出るとき、車内放送を主人公あおいがしてくれました。確かに素敵な山でした!
久しぶりのガチ登山でしたが、また、どこかの山に行ってみたいな…そう思える山行でした。
takhino.hatenablog.com
takhino.hatenablog.com
takhino.hatenablog.com
ちょっと三ツ峠山、行ってくる!(中編)
山に登るということ
「ヤマノススメ聖地巡礼」を名目に三ツ峠山登山に挑戦。しかし傾斜は山道らしく急なのに、延々と続く舗装路。
体力をすり減らして駅から歩くこと1時間半、ようやく登山口に着きました!
▲第1ポイント。最初の広場にある史跡「達磨石」。大日如来を意味するアークという梵字が彫られています。
▲国立公園の看板。一度、舗装路に合流しますが、すぐまた山道へ戻ります。
帰りに道を間違えないようにしなくっちゃ。
▲なかなか良く整備が行き届いた登山道です。おかげで、とても歩きやすい!
三ツ峠は全体的に昔から人がよく入っている豊かな里山…という雰囲気です。
標高が低い部分はアカマツ林。材木や燃料にしていたのかな~という感じです。
▲この山、キノコがたくさん生えています。これは…テングタケかな?毒キノコです。
▲第2ポイント「大曲り」。確かに山というより自然公園という感じで、ベンチが多い。
▲おや…何だか美味しそうな赤い実が…。ヤマボウシです。
ここでちょっと一休み。お腹が空いてきたので、補給、補給っと。
登山の場合は「行動食」って言うみたいです。ハンガーノックにならないためには、早め早めの補給が大事…って、こんな所まで本当にロングライドと同じなんだなあ。ハンガーノックなんて言葉が出てくるスポーツ、自転車と登山とマラソンぐらいです。
山が本気を出す「馬返し」
さて、ここから少しだけ登ると…
「馬返し」というのは、あちこちの登山道にある地名なのですが、これは「道が険しくなるので乗ってきた馬を返す場所」。つまるところ、この地名が出てきたら「この先、道が険しくなるから覚悟すべし」ということです。
どのぐらい険しくなるかというと…
いや~、いよいよ登山道っぽくなってきましたねっ!!!
「なんで、山だとそんなに元気なの?」と言われることが多いtakhinoですが、やっぱりこれぐらいの方が張り合いがあるって言うか…。元が山の子なので普段からこんな場所が遊び場だった…は言い過ぎですけど。まあ元々、山が好きな性分なんでしょうね。
▲とは言え、さすがにこれはちょっと…アニメより酷い事になってる…。
心拍数を上げすぎないように、一歩ずつゆっくり登ります。
▲そんな斜度を平然と登っていく、ここなちゃん。
巷で「ここなさん」「天狗」「山の神」と呼ばれる由縁が垣間見えますね…!
そりゃあ、確かに体が軽いとパワー・ウェイト・レシオ的に有利なんでしょうけど…!
それにしたって、この体力はちょっと異常…!
▲時々、動物の糞を見かけます。大きさ的にテン…でしょうか…?
同じ物を何度か見かけました。ここら辺に縄張りがあるようです。
▲体力的にはまだ余裕があるのですが、エネルギーの減り方が半端ないです。
大曲りから1時間も経っていないのに、お腹が減ってきました…。
▲不二石の裏手に回ったところで休憩です。行動食を補給しないと…。
それにしても、補給にちょうど良い位置取りです。
このアニメの取材が本当に緻密なんだなと思わされた瞬間でした。
コンビニのミニ羊羹もぐもぐ…っておじいちゃんか!
…と、あおいに突っ込まれそうですが、コンビニ羊羹、すごいんだよ!
こんな小ささで167kcalもあるし、カロリーメイトのようにパサつかないし、潰れにくいし、消化は早いし、補給食・行動食としては超優秀なのです!
ほんのちょっと登るとまた広場に出ました。
▲お地蔵さん。ここが八十八大師の広場。この広場周辺は史跡だらけです。
▲手前が、この山の山岳信仰の開祖「空胎上人の墓」。
登る前に三ツ峠グリーンセンターで聞いていたように、この広場からはスカイツリーが見える…らしいのですが、この日は見えませんでした。霞や曇りなどではなく、樹木が生い茂っていて、周りが見えなかったのです…。残念。
「あの崖」
▲きれいな花…実はヤマトリカブト、猛毒です。花の季節のようで、あちこちに咲いていました。
…などと印象的な危険箇所として描かれているこの場所、どちらかというと土砂崩れ跡。
▲「落ちたら絶対に助からないよね…」というのは確かですけど、実はこの通り。
そこまで「崖」ではありません。
結構道幅が広いので、支柱に寄りかからなければ、滑落の心配はほとんどありません。どちらかというと転石・落石の方が怖い。
ただし、この場所はアニメより支柱がひん曲がっているなど取材時より状態が悪くなっているようです。
そのうえ他の方がこれより前に聖地巡礼した記録と見比べて定点観測しても、支柱が倒れるなど登山道の状態は明らかに悪化の一途をたどっているのが見て取れます。
▲コンクリート部分から考えても、土砂の流出が続いている模様。
つまり今はそれなりに安全ですが、雨が降った後などは再び土砂崩れが起きやすい、と予測できます。
注意するに越したことはない場所です。
▲三ツ峠山は水が豊富。あちこちに湧き水があります。
屏風岩
▲ロッククライミングのメッカ、屏風岩。
▲この日もかなりの数のクライマーが岩壁に取り付いていました。
邪魔にならないように、下にいる人に軽く会釈だけして通り抜けます。
▲それにしても凄まじい断崖絶壁…。
さあ、ここを抜ければもうすぐ山頂です。
(つづく)takhino.hatenablog.com
takhino.hatenablog.com
takhino.hatenablog.com
ちょっと三ツ峠山、行ってくる!(前編)
ヤマノススメ
山に行きたいなあ…。
この夏は渋峠に行ってきて大いに満足したのですが、それから夏の終わりにかけて急激に天気が悪い日が増え、どこにも出かけられない日が続きました。悶々としたまま9月も半ばを迎え、ようやく天候が落ち着きはじめたのでした。
山に行きたいなあ…。でも自転車に乗るのはちょっと厳しいかもしれない。
実は渋峠で膝に矢を受けてしまってな…。
というのは冗談にしても、実際少し膝を痛めたようで、変な方向に捻ると痛みが出ます。無茶をすべきではないけど、折角久しぶりに晴れそうな週末、外に行きたい…。
そうだ、登山ならどうかな!?
そもそも、この「山に行きたい」欲はアニメ『ヤマノススメ』を見ていてのこと。だったら、もういっそ聖地巡礼の名目で山登りしてしまえば良いんだよ!確かに登山も膝に負担はかかるけれど、自転車で使う部分とは違うと思うし、何よりロングライドと比べれば大きな負担ではありません。*1
行き先は…うーん、正直takhino、関東の山をあまりよく知りません。
じゃあ…ヤマノススメに出てきた三ツ峠山にしよう!
そうと決まれば用意しなくっちゃ!
ひさしぶりの本格登山!!
そもそも三ツ峠山ってどんな山なのかというと…
三つ峠(みつとうげ)は、山梨県都留市、西桂町、富士河口湖町の境界にある標高1,785mの山である。峠ではない。三ッ峠山と呼ばれることもある(国土地理院の地図や山岳関連図書では三ッ峠山と紹介されている)。
三つ峠 - Wikipedia
山頂からは眺望に恵まれ、富士山、御坂山地、南アルプスが一望できる。条件が良ければ、飛騨山脈の槍穂高連峰を遠望することも出来る。
三つ峠 - Wikipedia
標高1785m…結構な高さですね…。麓の三つ峠駅からの標高差はおよそ1100m。
三ツ峠山の山頂に至るコースは大きく分けて4つ。今回はその内、最も標高差の大きなAコース(表登山道)と山頂とのピストン往復です。なにしろ『ヤマノススメ』の作中でそうなってるので、そこは外したくない…!でも、大丈夫かな…。
takhinoは登山に関しては、ド素人ではないけど、そこまで豊富な経験もありません。自分の能力と照らし合わせて、本当に大丈夫なのか、よくよく考えます。
最近はせいぜい日の出山や高尾山に行ったことがあるくらい。高尾山(599m)の標高差は400m程度で登山という感じの道ではないし、日の出山に至っては完全にハイキング。
登山らしい登山はもっと昔にさかのぼって、小学生の時の遠足で藤原岳*2や御在所岳*3に登ったことはあるけど…。たぶんそれがすこし長くなった程度…かな…。ただ山は標高差だけでは計れない。斜度がキツければ難易度は跳ね上がります。調べてみなきゃ…。
物の本によれば、三ツ峠山は技術的難度は初級者レベルだけど、体力は中級者向け。
他の聖地巡礼の登山者の記録からも、どうやら大きく分けて「高尾山とは比べものにならないほどキツかった。」という感想と「コースが長かった。/時間がかかって日が暮れそうだった。」という感想が散見されます。
体力面は、中級というのが気になりますが、自転車とは言え、渋峠までの2000mを登れてるんだから、たぶん何とかなる!後は時間です。時間をたっぷりかけられるように、「早出・早着」を心がけよう。
後はこれらの情報に基づいて「死なないための装備」を調えれば…!
実は、今回の準備で分かったのですが、ロングライド装備と登山装備はよく似ています。
今回、登山用として新たに準備したのは、「登山地図」「コンパス」「笛」「エマージェンシーシート」「ヘッドライト」そして「登山靴」と「帽子」。
あと、雨具。「レインジャケット」に「レインパンツ」。
ヘッドライトは時間が遅れても安全を確保するための重要装備。登山ではどんな低山でも持っていくように…とされているみたい。いくら時間的余裕を十分にとっても、怪我や不調で遅れることはままある…のは前回の渋峠で身を持って体験しています。
雨具も渋峠の反省から。気温が低い場所での降雨は危険そのもの。これまでのレインジャケットは透湿性がなく、着ていると結局汗で濡れてしまうので、ちょっと高いけどゴアテックスを採用です。あわよくば自転車用にも流用したいという目論見もあります。
そして登山靴。持ってる靴が少しへたってきたのもあり、ソールが堅めのしっかりしたトレッキングシューズ(軽登山靴)を買いました。ソールが堅めなので岩場でも安定して歩ける、水が染みこんでこない防水性能がある等、山歩きに特化した靴です。なにより、自分の足にぴったりの専用靴がいかに優秀かは自転車のビンディングシューズでよく知っている!
あとは…というと、あり物です。
ザックは自転車用だし、日焼け止めやファーストエイドセットはいつもロングライドでサドルバッグに入れている物。
服装は速乾性のある化繊がよいとされているので、アームカバーやサポートタイツはロングライド用だし、ハーフパンツは輪行時に使っている物。
水筒はいつもの自転車用ボトル。GPSロガーはGARMIN Edge。
半分以上…というか大半の装備がロングライド用でまかなわれてしまった…!
両方とも全天候への対応という、比較的厳しい環境を想定したスポーツですから、装備が似てくるのは当然なのかもしれません。
そもそも、サドルバッグの防水性に頼らず、こうやって1つずつスタッフバッグやジップロックにパッキングして防水性を確保する…って考え方自体、登山技術からの流用らしいですし。
いざ三ツ峠山へ!
始発の電車で東京から山梨へ…。4時起きとかですが、これまで早出というと日をまたいでのナイトランが基本だったので、寝て起きて活動開始できるだけで、ものすごく余裕です。
それにしても寒い。あまりに寒いのでレインジャケットを羽織ります。やっぱりゴアテックすごいよ…全然蒸れないよ…。これなら自転車でも使えるよ!
大月で富士急行に乗り換え。登山客らしき人がちらほらいます。
▲世界遺産に登録された富士山推しの車内。自分の他に山ガールが2人。
▲さっそくヤマノススメのボードがお出迎え。ずいぶんと力が入っています。
▲三つ峠駅。ちょっと観光地感を出し過ぎてる場所が所々ありますが、なかなか雰囲気のある駅舎です。
▲服装間違えたかなあ…と思うほど肌寒い三つ峠駅。
駅前はほとんど何もありませんが、自販機があるので温かいコーヒーを補給。
まだあまり日が昇ってないので寒い…早く動いて体温上げなくちゃ…。
三つ峠駅で降りたのは自分を除くと2人だけ。電車内にいた、あの山ガール2人組です。三ツ峠山に登るグループだったんですね。それにしてもキツいこのAコースをチョイスするなんて物好き…って自分もですが。
今回は初めての単独行なので、誰かが一緒のコースというのは、ちょっと心強いです。自分がコーヒーを飲んだり、GARMINを起動したり、周りの写真を撮ったりと、準備をしている間に先に行ってしまいましたが、きっと山の中に入れば追いつくでしょう。
▲良く晴れていて、富士山が綺麗です。駅からも見えていますが、この広場が下界では一番良い景色。
▲三ツ峠山の山頂(開運山)は、右奥の一番高いところ。アンテナがある場所です。
▲確かに普通の道をひたすら歩きます。1km程度で三つ峠グリーンセンターに到着。
ここの石碑には南無阿弥陀仏…と、ちょいと難しい旧字で書いてあります。
たぶん登山の無事を祈るとか人が亡くなったとかではなく、ここ三つ峠が本来は修験道の霊山だから。今回のルートはその意味でも、まさしく「聖地巡礼」なのです。
▲三つ峠駅から山頂まで3時間45分。
このタイム、山と高原地図や、他の案内図と比べるとかなりの健脚っぷりなペースタイムです。カメラを構えながらだと、この通りはきっと無理だろうなあ…。
犬を連れたおじさんが登山道の方からおりてきました。
「これから登るのかい?八十八大師って所からはスカイツリーが見えるよ!」
本当ですか!それは楽しみ!
▲ここにはトイレ兼登山ポストが。
万が一、何かあったときは、ここで書いた登山計画書が捜索の手がかりになります。
しっかり出して、出発です!
▲山祗(やまずみ)神社。山神をまつった小さい神社です。ここから本格的な登りが始まります。
▲神鈴の滝遊歩道。立て札には「三ツ峠登山道 近道」となっています。
木片チップが敷き詰められていて歩きやすそう!
▲「『神鈴の滝』って言うんだって。」とのことですが、アニメで映っているのはどう見ても砂防ダムの様相…。むしろ手前の方がきちんと天然の滝のように見えるのですが…。
▲落差はほとんど無いのですが、小さな滝が連続して爽やかな渓流になっています。
この辺りから道が一気に山道らしい傾斜になってきます…が、それでも続く舗装路。行っても行っても舗装路…。こ、これ、いつまで舗装路なんでしょうか…。
すでに駅を出て1時間半…。
あれ…楽しくない…しんどい…足は痛いしザックが重い…辛い…
それにしても正直、舗装路で心が折れそうでしたが、ようやく山道にたどり着きました。山道って良いね!土と落ち葉って良いね!
さあ、こっからが本番です!登るよ!
(つづく)
takhino.hatenablog.com
takhino.hatenablog.com
takhino.hatenablog.com