投げっぱなし日記

イラストとか、自転車とか、まったりゆるゆる。

ちょっと東京湾一周行ってくる!(その3)

その1/その2/その3/その4
東京湾一周200km、「日没までに都市部(残り60km程度)まで行ければ良いね〜。」と言っていたのが、ハプニングに続くハプニングでまさかの100km地点での日没!つまりまだあと100km!
距離以上に問題なのが、この先、千葉までの間は街灯が少ない暗闇を走らざるをえないことと、コンビニなどの補給地点がないこと。さて…どうしたものか…。

第3行程:富津岬〜市原

18:00。夕日が水平線に沈むのを見送りながら、takhinoとfeijaoは青堀のコンビニで補給を取りつつ、今後の作戦を練り直していました。もはや暗闇を走ることは避けられません。
しかし、ここでもたついていては今日中のゴールが危うい。千葉までの40kmは一気に走ろう。
と、ここで、急にお腹の空く感じが…。
…まずい。何しろお昼はそば、しかも食べてから既に3時間近く走っています。何か食べなきゃ…。feijaoに少し待ってもらって、もう一度店内へ。クレープとウィダーインゼリーを食べて再スタートです。

▲これで行けると思っていた…。*1


異変はすぐに起きました。わずか20分後。ここまでは安定して30km/hで走っていたtakhinoですが、突如、何の前触れもなく、がくんと20km/hしか出せなくなりました。流石に100kmも走って疲れが出たのか…と思いましたが、体はどこも痛くない。意識はあるし気力もある。だけど頭はぼんやりとし体は鉛のように重く思い通りに動かない。
ふとフェリー直前でfeijaoが発した言葉が脳裏をよぎりました。


『エネルギー切れだ…』*2


エネルギー切れ、それはいわゆる「疲労」ではありません。
ロードバイクは消費カロリーが非常に多いスポーツです。走行速度や個人差によって違いはありますが、50kmでおよそ1200kcal、100km走れば2400kcalと、ほぼ成人男性1日分のカロリーを消費します。もし途中でエネルギーが切れたら、動けなくなってしまいます。
つまりロードバイクによるロングライドにおいて補給とはまさに燃料補給そのもの。走り続けるには、カロリー計算と安定した補給こそがかなめです。しかし補給が上手く行かず、必要な燃料が空っぽになった状態、より正確には血糖値が極端に低下した状態。


ハンガーノック

ハンガーノック

本能の命令で体が生命維持モードに入り、どんなに理性で頑張っても筋力が出せなくなります。心拍数も強制的にカットされます。まさにエコモード。本能の本気っぷりがうかがい知れます。
本当に危険な状態だと体が全く動かなくなるそうですが、幸い今はそこまでではない。エネルギーは底をつきかけているものの、さっき食べた糖分がじきに体内に回って来るはず。
そう楽観視するものの、しかし胃の辺りが痛くなるばかりで、一向にエネルギーが回ってこない。
実は、低血糖状態から急激に血糖値が上がるのは体への負担が大きすぎるので、インスリンによって供給ストップがかけられるのです。…要は一度完全にエネルギーが切れかけて保護回路が作動してしまったら、どんな急速充電器を使っても再起動には1時間はかかる。それを避けるにはエネルギーが残っている内に補給をしなくてはいけなかったのです。そして今回のコンビニでの補給は…完全に手遅れでした。


必死になって漕ぐものの全くスピードは上がらず、引き離されては信号待ちで追いつくの繰り返し。とにかく辛い…ひたすら辛い…平地なのに…。ペダルに足をかけても力が入らずビンディングがはまらない。冷や汗ばかりが額ににじむ…。
feijao「前に出て自分のペースで走る?」
ありがとう…でも、無理。風を受けきれる体力は残ってないし、何より判断力が低下している状態で先頭になったら、後続を危険にさらすことになる。それは絶対にできない。とにかく後ろで必死に付いていくしかない。
この辺りは千葉県市原市、ひたすらコンビナートが続く地帯。行けども行けども同じ景色…道路、トラック、工場…コンビニもファミレスも何もない。そもそも、これ本当に前へ進んでいるのかな…。


feijao「…ちょっと休もう。」
やだ、この人かっこよすぎ…これがイケメンというやつですね…!道ばたの草原で自転車を倒して一休み。このときの休憩と、その先のコンビニでの休憩が、本当に効きました。休憩の効果、本当にすごい。そして、コンビニで買った桃とパイナップルを凍らせたアイス、涙が出るほどおいしかった…。
こうして、takhinoはようやく復活することができたのでした。体が軽い!頭も冴えてる!30km/hで走れる!


辛く長かった市原市も、ついに終わりが見えてきました。周りの様子が変わり、店がちらほらと増え始めます。車輪よ!あれが千葉の灯だ!
20:30、雨が降り始めた所でちょうどファミレスを発見。駆け込みます。ちょっと食欲は落ちているものの、メニュー表のカロリーをしっかりチェックしつつ、晩ご飯を選びます。そう、計画的なカロリー補給は命綱ですからね!*3


きちんとしたご飯を食べるのはここが最後。しっかり休んで、最後の行程に備えます。残り60km。


【現在時刻】21:45(14時間15分)
【走行距離】約140km


「その4」へつづく!

*1:今思うと、ウィダープロテインというチョイスが失敗だったな〜と。まあ、このタイミングで何食べても、もはや手遅れだった気はしますが。そもそも食べられるんだから、ゆっくり体に回る多糖類…おにぎりを数時間前に摂っておくべきだった。

*2:ここまで3時間ほどの消費カロリーが推定1800cal…うち糖質が50%とすると、補給必要量が900cal。お昼の天そばが量的に恐らく600cal前後、直前の補給が320calなので…綺麗に計算通り倒れたことに。

*3:ちなみにスパゲッティ等々800cal程度をチョイス。一応残りをギリギリ無補給でいけるはずの収支ではあります。